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ひとまずのお別れをアルバムに込めて

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  今回はYMOの散開コンサートの模様を録音したアルバム「アフター・サーヴィス」について書いてみたいと思います。 とうとう散開の日が来てしまった。 そんな気持ちでLP(当時)に針を落とした記憶がまだ新しいです。 ファンの方々は個々にそんな思い出があったのだと思います。 約5年間の活動を集約した散開コンサート。 それを収めた盤となりますので、かなりのボリュームになっていました。 それでも未収録の音源もあったようです。 泣く泣くカットしなければと言う感じでしょうか。 LPの時代だったので、収録時間の制約も大きかったですね。 当時最大の収録時間を誇ったとても大きな、ビニールの塊であるLPを2枚組にしても収録しきれない曲が出たようです。 M-4「SOLID STATE SURVIVOR」の最後の部分に入るアナウンスで、ドラムスのデヴィッド・パーマーを呼び込みます。 なんと彼、この散開コンサートに出演するために、自分のバンド(ABC)を辞めて来ちゃったらしいです。 そしてM-5「中国女」。 細野さんのベースプレイが最高にクールですね。 ベースって間(ま)なんですね。 音が鳴っていない所に上手さが見え隠れするんです。 全てを悟ったような、幸宏さんのボーカルも秀逸です。 かっこいい・・・。 デヴィッドのドラムプレイもとてもタイトに締まった音で、美しいです。 教授の音選びも冴えわたり、世界観を後押ししています。 と言うわけで文句無く、この一曲はM-5「中国女」にします。 もちろん、思い出は人それぞれ。 この時代を知らない若い人たちにも、当時聴いていなかった方達にも、是非是非聴いて頂きたいアルバムです。 あなたのフェイバリットはどの曲ですか?? これで一連の連載(と、自分では思って書いていました)である、YMOのアルバム紹介は終わりになります。 さあ、次は何を書きましょうか??(笑) まだまだ決まっていませんが、楽しみにお待ちいただければと思います。 それでは、いつも通り最後のリンクを置いておきます。 動画のリンクには、当時の散開コンサートの模様を収めたものを。 是非、お楽しみ下さいね。 Written by hirokutsu アフター・サーヴィス (live 1983) (2019 Bob Ludwig Remastering) / YELLOW MAGIC ORCHESTRA

散開前の大サーヴィス

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  今回はYMOのアルバム、「サーヴィス」について書いてみたいと思います。 再結成を除くと、オリジナルアルバムとしては最後のYMOのアルバム。 ラジオドラマあり、曲も様々な色が垣間見える、まさに”サーヴィス”満点のお別れのアルバムとなりました。 曲間に入る、S.E.T.とは三宅裕司さん主宰の”ミュージカル・アクション・コメディ”を標榜する劇団。 このアルバムに楽しさをプラスしてくれています。 どれも楽しいラジオドラマですが、YMOのお三方も参加しているものもあるので、聴いてみてくださいね。 入っている曲のサウンドとしては、前作「浮気なぼくら」から続いているような、肩の力の抜けた後期サウンドです。 あまり実験的なサウンドは目指さず、聴きやすく、しかもフックのある曲たちが並びます。 YMOのショーケースと言えるかもしれません。 ここでも1曲だけ紹介させていだたくと、M-1の「LIMBO」が好きです。 間を大切にする、細野さんのベースがとても気持ちいい一曲。 幸宏さんのドラミング(プログラムか実際に叩いているか、あるいはそのミックスかはちょっと聞き分けられません)もとても素敵です。 アルバムのオープニングに相応しい、キラキラした感じの期待感たっぷりの曲ですね。 クレジットには細野さんと幸宏さんの名前が。 曲調から推測するに、多分細野さん主導の曲に聴こえます。 幸宏さんのボーカルも安定感があって秀逸ですね。 メロディの主旋律の1オクターブ下を、細野さんが歌っている感じもYMOのボーカルの特徴でもあります。 このユニゾンは最強ですよね。(笑) それでは最後には、アルバムリンクとお薦めの曲のリンクを貼っておきます。 お楽しみいただけたら、幸いです。 Written by hirokutsu サーヴィス(2019 Bob Ludwig Remastering) / YELLOW MAGIC ORCHESTRA https://songwhip.com/yellowmagicorchestra/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B92019-bob-ludwig-remastering   LIMBO / YELLOW MAGIC ORCHESTRA

活動の後期は歌謡曲にシフト

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  今回はYMO後期の幕開けを飾るアルバム「浮気なぼくら」をご紹介したいと思います。 実は第2の「BGM」のつもりで企画したらしい、このアルバム。 確かに曲調は一人一人の個性が出ているものや、「あ、この二人のユニットっぽい」と感じるものや、「やっぱり3人じゃなきゃね」と納得してしまうYMO節など、様々なカラーがあります。 このアルバムから散開までを後期とすることが多いようです。 曲調としては、中期の反動(?)からか分かりませんが、ポップなテクノ歌謡の様相。 詞も日本語詞が増えてきます。 これは中期を挟んで、何でも出来てしまうお三方に気付いたレコード会社の方々達が、歌謡曲制作に走らせるような動きが出てきた事が一要因としてあったのでしょう。 と同時に細野さんの同志である、松本隆さんが詞を提供し始める事によると思います。 実際に発表しないまでも、散開に向けて走り出す、そんな時代だったように思えます。 それでは恒例のこの一曲を、ご紹介しますね。 M-8の「邂逅」にします。 イントロからずっと流れる、シンセベルの音。 シンセサイザーもデジタル化し、金属的な発音をするようになってきました。 いわゆるテクノと言うと、アナログシンセの特徴を上手く捉えた使い方もありますが、この時期に入りますと、様々なソースの音が融合されてきています。 90年代にもテクノはダンスミュージックに寄り添うように復活しますし、現在でも、エレクトロニカのようなジャンルが存在します。 方法論としては同じものと言えます。 音楽性に富んでいるのはもちろんのこと、このジャンルには技術と言うものが不可欠であったと言うことなのです。 楽器としては、シンセサイザーの発達。そして、幾重にも音を重ねるための、レコーディング技術も進歩しました。 電子楽器たちを動かす側のPCであったり、シーケンスソフト、今で言いますとDAWの発展も不可欠なものでした。 技術に寄り添い、面白い技術やその使い方をトライアンドエラーしていく姿勢。それがテクノというジャンルの魅力だと思います。 それでは最後に、アルバムリンクと曲のリンクを置いておきます。 当時の最先端のテクノ歌謡。聴いてみませんか? Written by hirokutsu 浮気なぼくら(2019 Bob Ludwig Remastering) / YELLOW MAGIC ORCHES

ロジカルに暗い私のフェイバリット・アルバム

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  今回はYMO中期の2枚目のオリジナルアルバム、YMOの「テクノデリック」について書いてみようと思います。 メンバーの髙橋幸宏さんは、中期のアルバム2枚を評して、「BGM」はロマンティックに暗く、「テクノデリック」はロジカルに暗い、とおっしゃっていました。 言い得て妙。まさにその通りだと思います。 中期のYMOの特徴は、そのサウンドの持つある種の暗さ。 陰陽で言うなら陰の方。明暗で言うなら暗の方。 前期のYMOに魅了され、シンセサイザーという楽器は、いかにもカラフルでハッピーな音が出るものだと思っていた小学生の頃の私は、この暗さや重たさを持つ中期のアルバム2枚が初めのうちは分かりませんでした。 前期のポップでキラキラなサウンドとは、明らかに一線を画し、その落差もあって混乱をしたのかもしれません。 そしてこの「ロジカルな暗さ」はこのアルバムに通じて流れるイメージと思っていただくと分かりやすいでしょう。 「BGM」のリリースから、それほど間を開けずにリリースされたこの「テクノデリック」。 今では私のフェイバリット・アルバムの中の一枚です。 技術的な事を少しだけ書かせていただくと、多分サンプリングの技術を本格的に使った最初のアルバムと言えると思います。 その日の気分で、聴きたい曲やアルバム、ひいてはアーティストまで色々と変わるものですが、このYMOのアルバムに関しては一貫して”好き”なイメージが流れ続けています。 きっと私の自作する音楽の指向として、ロジカルな部分が消せない作り方をしているのも、このアルバムに発端があるように思えています。 音の合わせ方と言うか、乱暴に言うと”音のぶつけ方”のようなものが、今でもとてもロジカルに聴こえ、その影響は計り知れません。 しかも長く長く、何十年も影響されながら、今に至っているのです。 そんなアルバムを是非、今の音楽ファンの方々にも見つけてもらいたいです。 もちろんアルバムと言うもの自体、概念が希薄にはなってきています。 でしたら、曲を一曲でもいいでしょう。 長く自分を形作る、一曲、アルバム、あるいはプレイリストでも。 それがきっと、ずっと音楽を好きでいられる秘訣なのかもしれませんね。 あ、ただ、無理をして探すってものでも無いかもしれないのは、分かって下さいね。 色々な曲やアルバムを聴ける環境が今は身近にあるので、あとは時間を割いて

待望の影山優佳のフットボールタイム

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  今回は、少し音楽の話を休憩させていただきまして、内田篤人さん急遽欠席の為実現した、DAZNのサッカー番組「影山優佳のフットボールタイム」について書いていきたいと思います。 彼女のファンの方なら分かると思いますが、大きなフリは、日向坂46の冠番組である「日向坂で会いましょう」での一幕にありました。 ちょっとしたメンバーへの不平不満を言う企画がありまして(もちろん仲のいい日向坂46だから実現する企画なのですが)、影山さんは1期生の齋藤京子さんに、話を説明してもなかなか通じない事を告白しました。 では、試しに何かを教えてみようと言う事で、影山さんの得意な分野であるサッカーのルールで、”オフサイド”を教えてみようという事に。 そのお話は通じなくて、笑いを生む結果にはなりましたが、その時に挿入された画像が「影山優佳のフットボールタイム」として、「内田篤人のフットボールタイム」さながらのパロディ画像でした。 影山優佳さんのDAZN冠番組。 ”こんな事があったら・・・”と言う、サッカーファン、影山優佳ファン、日向坂ファン(おひさま)を巻き込むであろう、一度きりの番組が始まったのです。 オープニングもきちんと作って貰えました。彼女のフットボールタイムでの雄姿を集約した、タイトルバック。 可愛らしい画像が続きます。 そして、野村さんの進行も冴えます。 いつもの挨拶でもある、「あなたのハートにゲーゲンプレス」の自己紹介を促すと、番組の予定をアナウンス。 安定感のある番組に仕上げていきます。 日本人選手の海外リーグでの活躍を、まずは話題にしていきます。 最近は様々な国での、日本人選手の活躍を見る事が出来て、嬉しい限りですね。 いつもなら、内田さんが行う日本人選手へのコメント。 ゲストの佐藤寿人さんと影山さんで、そつなく進めて行きます。 このコメント一つ取っても、影山さんのサッカーに対する戦術眼とプレーへの造詣の深さが伺えると思います。 特に彼女と同い年のラ・リーガ・プレーヤーである、マジョルカ・久保建英選手へのコメントが、サッカー愛に溢れる秀逸なものでした。 スタッフにも愛されている影山さん。 彼女のコーナーを作ってもらっています。 その内容は、移籍市場閉幕後の後半戦の楽しみ方を指南するというもの。 バルサファンである私にも、嬉しい話題が色々ありました。 その他にもヨーロッパの主要な

中期の傑作サウンド集はいい意味での裏切りを

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  今回はYMO中期のアルバム、「BGM」について書いてみたいと思います。 このアルバムから、YMOの活動を3つに分類する上では、中期に入る事になります。 中期ではこの「BGM」と「テクノデリック」の2枚のオリジナルアルバムを出しています。 このころはYMOのレコードセールスの無双状態が続きまして、世界ツアーから帰ってきた状況で生まれたアルバムがこの「BGM」だったのです。 普通に聴いて頂いても、前期のサウンドとは全く違うモノになっている事に気付かれると思います。 シンセサイザーの音の持つ華々しさを前面に出し、アレンジもきらびやかになっていた前期に比べ、こちらの中期はある意味内省的。 ダークなサウンドをあえて打ち出してきました。 この変化についていけないファンは数多く、”裏切られた”と感じる方々も多かったのです。 音楽に精通しているはずの評論家なども、このような論調が多かったように記憶しています。 その為、爆発的にセールスが伸びた前期のアルバムに比べて、ガクッと落ちた中期のセールス。数字は正直です。 今考えてみると、アーティストにはよくある話なのですが、幼かった私は、ちょっと意味が分からなかったと言うのが正直な感想でした。 それでも、この中期のアルバム2枚に影響を受けている方々が国内外問わず多いのです。 私も少なからず影響を受けた一人です。 今でもふと聴き返してみると、とても価値のある芯を食らったアルバムだったのだなぁ。と思うのです。 さて、このアルバムで1曲を選ぶのはとても大変ですが、全てを聴いて頂きたいのを前提で選ぶとすると、M-9の「マス」になるかなぁと思います。 個人的な事を言うと、音楽で涙を流す人と言うのは、どうも少数派のようなのですが、私はその少数派の一人でして、この「マス」も泣ける曲の一つなのです。 どことなく儚さや美しさの中にある棘のようなものを感じるこの曲。 聞くと、かなりの確率で、私は泣いてしまうんです。 それでは最後にアルバムのリンクと曲のリンクを貼っておきます。 YMO中期の幕開けを彩るオリジナルアルバム。 是非ご一聴下さい。 Written by hirokutsu BGM(2019 Bob Ludwig Remastering) / YELLOW MAGIC ORCHESTRA https://songwhip.com/yellowmag

あまりにも印象的なアートワークのジャケットを持つミニアルバム

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  今回はYMO前期の後半に出されたアルバムである、「増殖」について書いてみたいと思います。 まずはその特徴的なアートワークが目を引くこのミニアルバム。 YMOのお三方の人形がジャケットいっぱいに並びます。 ミニアルバムと私が言うのは、そのサイズのお話です。 昔のレコードはLPとEPというのが主流でした。 LPとはいわゆるアルバムの大きさで12インチ(30㎝)。 EPは7インチ(17cm)。 でも、この「増殖」と言うアルバムはその中間である10インチの25㎝のものだったように記憶しています。 ジャケットはこれ専用の大きさのものにLPの大きさまでカサマシをするための段ボールが付いていて、ふちが赤く塗ってあったように記憶しています。 曲と曲の間に差し込まれるのは、これまたお洒落な感じのショートコントと言いましょうか。 スネークマンショーと言うユニットの短いラジオドラマ。 どれもひとひねりしてある、お笑いのものですね。 きっとYMOの皆さんは、お笑いが好きだったのかもしれません。 三人で当時のネタ番組に出たりもしていました。 自分たちの音楽の中にあるユーモアを体現させるために、このようなラジオミックスのような作り方をしてしまうあたり、とても先進的な考えだったのだと考察出来ます。 思い起こすと、ラジオでした。私達が初めて音楽に触れたのは。 音質も褒められたものではなかったし、必要な時にその音楽がかかるわけでもなかったです。 でも、今考えると、その不自由さが音楽だったような気もするんです。 では、この一曲を選んでみますね。 M-2の「NICE AGE」で行きたいと思います。特徴的なイントロは、そこだけ切り取られ、様々な媒体で効果音などにも使われた代物。 クレジットを見ると、坂本&高橋の連名になっています。 このコンビになると、歌もの的にポップな曲が生まれやすい傾向にあるように思えます。 サウンド的には、初期の髙橋幸宏さんのドラミングの特徴的な、フィルにタムをほとんど使わない奏法や、グルーブ感の半端ないシンセのシーケンスなど、魅力いっぱいです。 ベースは打ち込んでいる感じもします。 定かではありませんが、私の聴いた感じではそう思います。 それでは最後に、アルバムリンクと曲のリンクを置いておきますね。 是非ご一聴いただけたら、幸いです。 Written by hirokutsu