ベースラインに特化した小さなシンセ
今回はRolandのベースラインシンセ、TB-303について書いてみたいと思います。
このシンセも稀有な運命を辿ったシンセです。
1981年に発売された、なんとも不思議な小さな銀色の箱。
兄弟機であるリズムマシンのTR-606とお揃いのデザイン。
発売当時は、ベースラインを再現するシンセサイザーとして受け止められました。
いわゆるリズムマシンやリズムボックスのベース版として。
もちろん、ステップ数やパターン数は当時のメモリですので限りがありますし、音色は独特のRolandモノシンセの流れを汲むベース音。
当時はいかに生音に近いものを出すかを要求されていたため、プロの使用にはそれほど耐えませんでしたし、ファンは一定数いたものの、その使われ方は限定的なものでした。
時は経ち、中古楽器屋さんでは、このマシンはかなり安く売られてしまっていました。
そんな時・・・
「お、303じゃん」
と見つけた人たちがいたんです。
いわゆる90年代テクノのイノベーター達です。
私と同じ世代の彼らには、この銀の箱はとてつもなく魅力的に映った事でしょう。
そう、発売当時は子供だった為、欲しくても手が届かなかったのです。
私もその中の一人です。当時のテクノキッズにはそれはそれは高価なおもちゃだったのです。
大人になった彼らは新しいおもちゃを手に入れ、使い倒した事でしょう。
実はこんなに楽しいおもちゃは滅多にありません。(笑)
そこで生まれたベースラインは唯一無二のサウンドとなって帰ってきたのです。
TB-303が無かったらきっと、アシッドと呼ばれるテクノの復権は無かったでしょうし、テクノと言う音楽の中での、ベースラインという重要なパートにアイディアと存在感を与え続ける事は無かったでしょう。
彼らが見つけた銀色の小さな小さな箱は、後に彼らの音楽にとても大切な命を吹き込む事になりました。
Rolandのファンの方の多くは、その音の存在感を魅力に挙げる人が多いです。
モーグやアープみたいに、ゴリゴリの太い音色ではないのに、そこに必ず存在する。
どのような曲調であっても、どんなシステムを組んでも、きちんと鳴る音が出てくれる機械なのです。
シンセサイザーが生まれてから相当な時間が経ちましたが、音楽的に鳴る物をきちんと真摯に作った技術者さん達の努力は計り知れないものがあると思います。
感謝しかありません。
まだ電子楽器の統一規格であるMIDIが無かった頃の話です。
それだけで郷愁を誘いますが、現在のお話に少し戻ると、Rolandさんはきちんと自社でモデリングをして純正のソフトシンセとして使える物を出しています。
それに関するデモのページと90年代テクノの代表曲をリンクとして貼っておきます。
数奇な運命を辿った、銀の箱。その魅力の一端をお聞き頂けたら幸いです。
Written by hirokutsu
TB-303 Software Bass Line (Roland)
https://www.roland.com/jp/products/rc_tb-303/features/
Roland Cloud TB-303 Sound Samples
https://soundcloud.com/rolandcloud/sets/tb-303?si=d8e9660174e34e1891a4b3b40040b330
Frequencies / LFO
https://songwhip.com/lfo/frequencies

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